モリズム #11
【やり直し考】
Try it again?
今回は「(チーム練習における)やり直し」について考えます。
選手が何かに失敗した時に、「もう1回お願いします!」とコーチに要求する。
コーチが失敗を指摘した時に、「もう1回やってみようか」と選手に促す。
よくある光景ですね。
ですが、僕たちのHCは、基本的に「やり直しはさせない」立場です。
練習は試合のリハーサルであり、試合はやり直しが利かないから、というのがその根拠です。
極めて明快な理由です。それと同時に、今まで僕が触れてきた「やり直し、全然OK」という立場とは一線を画すものであり、その感覚に慣れるのにかなり時間がかかったのも事実です。
「やり直し」
皆さんは、どう考えますか?
比較:
まずは、それぞれのメリット/デメリットを比較してみます。
「やり直し」
メリット;
・エラーが起きたら、フリーズコーチング等によって、その場で修正を図れる。また、それらはチーム全体に共有される
・その後のやり直し(場合によっては、スピードを落としてやり直させたりする)による成功体験を持って、次に臨める
・出来なかった/悔しいという選手の気持ちを、すぐにパフォーマンスに繋げられる
・(主観ですが)「もう1回お願いします!」とやり直しを希望すると、「食らいつこうとしている」という印象を周囲に与えられる
デメリット;
・何度も練習が止まる可能性がある
・コーチ側が何度も「やり直し」を求めると、精神的に萎える選手もいる(特に、改善点を伝えずにやり直しさせられる場合)
・身体的/技術的に難易度が高過ぎる場合、やり直しに意味が無くなる可能性がある
素人考えですが、
何かの道を極めんとする師弟関係(職人技を会得しようともがく弟子のような)や、従来のスポ根的メンタリティーは、「やり直し」文化と親和性が高いように感じます。そういった「こだわりを持ってやり抜く」といった点で「やり直し」は、日本人にとって気質的に違和感の無い、馴染みやすい練習運営方法なのかもしれません。
では逆に、
「やり直し禁止」はどうでしょうか。
メリット;
・練習は試合のリハーサルであり、試合はやり直しが利かない(前述HCの考え方)。これに伴い、練習に緊張感を生み出せる
・練習メニュー進行にあたり、(やり直しによる遅滞が無い分)ある程度コーチが想定した計画通りに練習が進む
デメリット;
・練習を「技能やチーム戦術を試行錯誤しつつ発揮する場」と捉えると、エラーが起きた際にそのケースにおける成功体験を経ずに練習が進んでしまう
・エラーでその練習が終わると、どこかネガティブな気分になってしまう
・これまで当たり前に「やり直し」をしてきた選手にとっては、面食らったり、アジャストに時間がかかったりする
読者の皆さんの中に、ここにはない長所・短所を考えてる方がいれば、是非教えてください!
結論 に進む前に、少し段階的に考えたいと思います。
①練習とは
練習の目的をハッキリさせます。
まずはこれが大前提です。
練習とは何であるか→どう練習をデザインするのかの順番で考える。
練習そのものの有り様/目的ありきという姿勢が、「やり直し」云々以前に必要であると考えています。
②その練習で何を向上させたいか
練習の目的をハッキリさせたら、
中身の検討に移ります。
カテゴリーや時期により千差万別だと思いますが、その練習において具体的に何を重視するのかを考えます。
チームの土台部分、特定の技術/戦術、選手間の競争、新たな戦術の導入、とにかく雰囲気をピリつかせたい、、、etc.
③手段を検討する
上記②まで詰めて、
やっと初めてコーチングとしての手段である「やり直し」関係の問題を整理します。
①練習の目的に沿うために②どういうメニューを採用するのか。
③そして、メニューを進めるにあたり、コーチングの手立てとしてどのような手段を取るのか(今回ならば、やり直しをいつどのように使うか/使わないか)。この順に考えていきます。
結論:
これらを踏まえ、現時点での僕の結論は
「使い分けがベスト」
です。
僕自身は、チームとして絶対に譲れない/妥協してはいけない部分は徹底的に繰り返すようにしています。反対に、チャレンジを促す/独自のアイデアを表現するような場面では、やり直しをしつこく求めることはしません。
大学バスケという単一カテゴリーにおいても、時期により重視する内容は異なりますし、選手たちも変化していきます。結局人間同士が行うものなので、絶対的な正解は無いと思います。その都度最適な方策を探して適用していくのがベストだと思います。
読者の皆さんの意見や考え、感想も聞いてみたいです。
DMやリプライ、リツイート等で意見交換しましょう!
お読みいただき、ありがとうございました!
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執筆日からちょうど1週間後、親知らずの抜歯を予約しました。
先生曰く、奥歯が塞がるような形で生えていて、なかなか抜きづらいそうです。
頑張ります。