ミスへの対応
皆さん、こんにちは。
早稲田大学バスケットボール男子部学生コーチの森一史です。
今回は2回目の記事、
「ミスへの対応」についてです!
◆【女子部 春のトーナメント】
本題の前に、身の周りの最近のことについて少し…。
先週末まで、早稲田の女子部が「関東大学女子バスケットボール選手権大会(春のトーナメント)」を戦っていました。主力となる中心選手を怪我で欠いた状態での大会でしたが、ベスト4という成績を残しました。
普段隣のコートで頑張っている姿を見ているので、苦しい状態でも戦い続ける姿勢は素直にかっこよかった。
個人的には、公式戦で得られる個人・チームとしての自信は、練習や練習試合とは大きく質が違うものだと思っています。その点、(負けてはしまったものの)準決勝・3位決定戦と最後まで競り続けられた経験は、まだ公式戦をしていない男子部から見て正直羨ましいです。笑
女子の試合から学べることは本当に沢山ありました。男子部も負けないように頑張ります!
◆【ミスへの対応】
では本題に入ります。
バスケットボールは大小様々なミスが付き物のスポーツです。
例えば、ショットを放って外れるのもミス。味方同士で思い描くプレイが異なり、パスが繋がらなかったのもミス。ディフェンスの際、ボールを見続けてしまい、マークマンにBackdoorを許すのもミスと言えます。
今回は、自チームの課題の1つであるターンオーバー(TO)について触れていきます。
現在、僕の中では、TOを以下のように捉えています。
① 注意すれば直るミス
…いわゆるCareless Miss。
Ex.狙い過ぎてDefに読まれていたパス
② 練習しないと直らないミス
…Skill不足によるミス。「知らない→出来ない→使えない」の段階がある?
各種Pressure Release
これらへの対応として、例えば以下の取り組みをしています。
① に対して→選手に説明する
…選手個人のSkill不足というより、考え方やプレイの判断基準にアプローチ(映像を一緒に観たり)。
② に対して→練習あるのみ!
…Skillを知る→出来る→Liveで使えるようにする。この部分の方法論は僕自身が試行錯誤の真っ只中なので、整理できたらまたいつか書きます!
更に、最近導入した新たな考え方があります(これが今回一番書きたかったことです!)。
それは、「ミスが起きうる構造、フレームを最初から採用しない」ということです。
簡単に言うと、
“Aというプレイをするとミスするなら、そもそもAというプレイをやらない”
ということです。
先程までの対応(①,②)が対症療法的要素であるのに対し、こちらは予防策という位置づけでしょうか。
<具体例>
以下のスペーシングで行うPnRを考えます。
コーナーの#2はパスをレシーブした後、X2のクローズアウト(#2へ間合いを詰める動き)に対してカウンタードライブを仕掛ける局面。
このような場面では、素早いカウンタードライブを仕掛けようとして、#2が脚を後ろに引いて推進力を得ながらドリブルを突き出すことが頻発しました。これでは推進力得る見返りに、サイドラインを踏んでしまうリスクを大幅に上げてしまいます。実際、練習でもそのような場面に何度も直面しました。
ここで僕が真っ先に考えたのは
「脚を引かずにドライブするSkillを身に付けさせる」ことでした。そのSkillを教えた経験はありましたし、習得している選手もいました。
しかし、今回は大人の理由から、「そもそもコーナーにいないようにする」という方法で、このTOを減らそう(なくそう)と取り組みます。
つまり、3Ptラインがカーブし始める部分まで上がる(リフト)ことで、サイドラインから離れるようにチームの約束事を設定しました。このルールに則れば、脚を引いてもアウトオブバウンズにはならず、推進力あるドライブも可能です(他にもX2が守りづらくなる等のメリットがあります)。
現在はこちらのチームルール(サイドラインを踏む、が起こりえないフレーム)を浸透させている最中です。
・Skillを身に付ける時間と、ルールを身に付ける時間。
・Skillを身に付けるメリットと、ルールを身に付けるメリット。
・Skillを身に付けるデメリット(これはあるのかどうか分からないけど…)と、ルールを身に付けるデメリット。
これらを天秤にかけて、HCとも相談し、今回はルール・フレームを変更するという手段で解決を試みています。
◆まとめ
ミスに対しては、「ミスをしない為のSkill練習」の他に、「ミスが起きうるフレームを採用しない」というアプローチがあります。
もちろん、将来上のカテゴリーに進む選手には、フレームにかかわらずSkillを身に付けている必要はありますが、「選手自身のSkillは同程度でも、プレイするフレーム・枠組みが違うだけでミスになるかどうかが変わってくる」という事実は、手前味噌ながら面白い話だなぁ、と思います。
僕自身、こういったアプローチを採るのは初めてですが、チームが早く馴染めるように日々努めたいと思います。
それでは、また次回!