【SETについて考えた➀】

モリズム #6

SET Offense

 

◆はじめに
今回のお題は「(ハーフコートの)SET Offense」ということですが、まずはその定義を明確にしたいと思います。
JBAの指導教本には「特定のプレイヤーに特定のエリアからシュートをねらわせるために用いられる」「いつ、どこで、誰がシュートをねらうのか、あらかじめ明示される」とあります。チームとして狙い目が共有されていることでプレイの再現性が担保され、確実にシュートチャンスを創る。それがSETの強み、ということのようです。
また過去のクリニックにおいて、現女子日本代表HCの恩塚亨さんは「ハーフコートオフェンスは、スペーシングとアクションにより構成される」と言及していました(当時の自分のノートより)。ここで言うアクションとは“#1と#5のTop PnR”や“#4のPost up”のようなもの。誰の何で点を獲りに行くか等の、各プレイヤーの動きのことです。

 

このSETに関連して、僕が大学バスケを通して感じたことを、これから2回に分けて書いていきたいと思います。

 

◆大学バスケのテンポ感
上述の通り、チームとして決められた動きや狙いがあるのがSETです。
そんなSETに対して「“遂行すること”への固執が強過ぎるのでは」と感じる場面があります(自チーム含めて)。ボールをプッシュ出来そうなシチュエーションなのに走らず、SETをコールし、対応され、タフショット打たされ、リバウンドを獲られる…。僕は今、結果論でモノを言ってるので多少ズルい論理ですが、それでも「なぜわざわざEasy basketを見逃してまでSETをコールしたんだろう、もっと走ってラクに点獲ればいいのにな…」と歯がゆくなるポゼッションは多々見受けられます。
勿論、各チームのスタイルや戦い方(Delayedしたい、留学生が上がってくるのを待ってからそこで攻めたい、等)があるので一概には言えません。ですが、点を獲るというオフェンスの最終「目的」と、SETの遂行という「手段」が逆転してるんじゃないか、と感じることがとても多いです。

 

試合の中で速攻が減りSETが増えると、ラリーが減るので試合展開が遅くなります。スタッツ上では「Pace」という数値が下がります。Paceとは、簡単に言うと「40分当たりのPossession」(単なるPossession数だけでは、オーバータイムを戦ったチームは数値が高くなりますが、それでは40分しか戦っていないチームと純粋に比較することは出来ません。そこで、40分当たり、に均したPaceを採用します)を表す指標です。
そこで、2021オータムリーグのスタッツから集計した、関東1部12大学のPaceを纏めてみました(左側から最終順位に従って記載。本当は全てチームロゴで作成したかったのですが、権利の問題が怖いので、チームカラーで表しました)。

「なんとなく分かったけど、これって速いの?遅いの?あと、79にある赤い線は何?」と感じて頂けると、展開的にすごく助かります(笑)

 

79.0は、東京五輪男子日本代表の、グループフェーズ3試合におけるPaceです。
語弊を恐れずに言えば、世界の強豪相手に3連敗した日本代表よりも、大学生はゆっくりバスケットをしていた、ということです。
「Transitionこそ日本代表の生命線」、僕がバスケットを観始めた頃からずっと言われていることです。特に五輪後にはトム・ホーバスHC体制に替わり、更なる高速化が求められる可能性があります。

 

そんな中、大学バスケはゆっくりしたバスケットをしていてもいいのでしょうか。

 

◆まとめ
今回は、Paceを切り口に書きました。個人的に感じていた“遅さ”が客観的に観察出来た上、代表チームとのギャップも見られました。

 

確かに、数字のトリック的な部分やカテゴリーの違い、コーチの考え方やコロナの影響等、考慮すべき点は沢山あります。図に示した差は、統計的に見ると些末な差に過ぎないのかもしれません(統計の勉強しないと…)。「Pace」より「Fast Break Points」等で比較した方が理にかなっているかもしれませんし、代表チームがPaceをKPIにしているかも僕は知りません。
また、何も金太郎飴のように大学全チームが速い展開のバスケットをする必要は無いですし、むしろ多様性が無くて面白くないです。対戦していても飽きるでしょう。

 

ただ、ある一つの指標で見た時、将来の日本代表が確実に存在するであろう大学カテゴリーと、日本代表の目指すコンセプトの間に多少の乖離がある、という事実は一考に値すると思います。
強化という観点からも、トップとその下の世代に方向性のミスマッチがあるのは勿体ない状況と言えます。

 

今回は「Pace」にのみフォーカスしましたが、その他の面でも、日本の強みとしていくべき部分を徹底的に追求するチームが大学生年代にはあって然るべきではないか、そんな風に思います。

 

前編はここで終わりです。
それでは、また後編で…!

 

◆脚注・参考文献/サイト

・Pace=(Team Poss. + Opponent Poss.)/(2*(Team Minutes Played/5))*40
・Possession=3PA+2PA+FTA*0.44+TO-OR
・日本バスケットボール協会,(2017)バスケットボール指導教本改訂版[下巻].
公益財団法人日本バスケットボール協会編,大修館書店:東京,pp.180,200
一般社団法人関東大学バスケットボール連盟 (kcbbf.jp) (2022年1月23日閲覧)
Japan – Tokyo 2020 Men’s Olympic Basketball Tournament – FIBA.basketball 
2022123日閲覧)

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