モリズム #3
「説明の方法」
こんにちは。
早稲田大学バスケットボール男子部学生コーチの森一史です。
前回の記事からかなり間が空いてしまいました…
今回のテーマは、「説明の方法」です!
◆【いつも通り脱線から。】
この時期は、何といっても東京オリンピックですね。(ここでは開催の是非等は一旦横に置かせて頂いて…)純粋に、バスケットボールという競技の魅力に圧倒されまくっております。
本当に面白いです。
僕の注目チームを勝手に紹介します!
<男子…オーストラリア代表>
ディフェンスがとても良い印象を受けます。
1on1の技術(トルソーでオフェンスとコンタクトする、腕・手の使い方等)、速いローテーション、激しいコンテスト、コミュニケーション。強度が高く、圧巻です。
オフェンスも多彩で、観ていてかなり面白いです!
金メダル射程圏内にいるチームだと思っています。
お気に入りの選手(Patty Mills、Joe Ingles)がいるチーム。最後まで見届けたいと思います。
<女子…日本代表>
まず、オフェンスが楽しい!
Player/Ball Movementが止まらず、こちらも観ていて面白いです。1つ1つのカットやシールの精度は勉強になるものばかりです。
日本の武器であるアジリティにしっかりスキルが伴っていて、「日本が目指すべき形」の1つの正解を目の当たりにしているようです。
そしてディフェンス。ローテーションがとんでもなく速いです。めっちゃ速いです。サイズの小ささはあるものの、あのローテーションは半端ないです。予測、判断、徹底。速い。
個々の選手では、町田瑠唯選手に注目しています。
町田選手がアウトレットパスを受けてすぐ(1つのドリブルも突かず)に、前線のウイングやビッグマンにパスを供給するシーンは、観たことがある方も多いと思います。
個人的に、「もらって、1ドリ、ロングパス」のように、ここで1ドリブル突かないと長く正確なパスを出せないPGって多いイメージがあります(男女問わず)。
オープン(になりそう)なプレイヤーを見つけて、町田選手のようなPGが無駄な動作無くPass Ahead(パスを前に飛ばすこと)していると、「あぁ、良いガードだなぁ」と個人的には思います笑
余談ですが、フランス戦では、利き手ではない左手でワンハンドパスを飛ばすシーンがありましたね。震えました。。。
◆【説明の方法】
では本題に入ります。今回のテーマは「説明の方法」。
バスケットボールのコーチングでは、練習メニューや技術的改善点など、色々な「説明」をする場面があります。
「説明」のゴールは、「選手に理解してもらうこと」。
このゴールに到達する為に、僕は主に以下の2つの方法を用途に応じて使い分けています。
- 作戦盤(ボード)に書く
+)
・俯瞰で把握出来る(コートを上からみた感じ)
・ATO(After Time Out。タイムアウト明けの為にコーチが用意した、スペシャルプレー)を遂行する練習になる
・書くだけなので早く終わる
-)
・実際のプレイヤー目線と違う
・タイミングなどの細かい部分を表現しづらい
・図が汚いと、めちゃくちゃ分かりにくい
・重ね書きとかされると本当に分かりにくい(1つ前の説明はもう消していい!笑)
- フロアレベルで再現する
+)
・リアルでイメージしやすい(ビジョンやタイミングも説明しやすい。百聞は一見に如かず!)
-)
・時間を要する(プレイヤーの配置、動きを1つ1つ示す必要がある)
全体像を掴んでもらいやすいボード、ディティールまで表現出来るコートでのデモンストレーション。内容やタイミングで使い分けることが大切です。
加えて、プレイヤーに(復習も兼ねて)ゆっくりリハーサルしてもらうのも合わせ技で有効だと感じます。
選手が理解しきれていなかったらコーチの落ち度(選手に思考力、理解力がある前提)。何がベストか、試行錯誤の日々です。
◆まとめ
今回は「説明」に絞って書きました。
カテゴリー、シーズンのどの時期か、伝える内容によって、採用する手段は変わり得ますが、そのゴール(=「選手に理解してもらうこと」)は変わりません。
方法は適切だったかどうかは、プレイヤーのリアクションが答えになります。
僕自身、毎回完璧に出来ているわけではないです…。
謙虚に、現実を見て、改善の繰り返し。
暑い日が続きますが、読者の皆様もご自愛ください。
それでは、また次回!