【短期連載】見せるためのアリーナの存在は衝撃だった。

島本和彦の
#バスケットボールジャーニー
Vol.2

見せるための
アリーナの存在は
衝撃だった。

 

島本和彦
(バスケットボール・ジャーナリスト)

 

さて、アリーナに入ることは出来たが、どのように行動するかは全然決まっていなかったし、見当もつかなかった。こんな時にはとりあえずこのアリーナがどんな仕組みになっているかの探検でもしようか?
と思い、動き始めてみた。

 

フロアには警備員がいて下には降りることは出来ないが、2階部分はぐるっと一回りできるようになっている。
そこにはトイレ。
軽食などを扱っているブースがありビールやカクテルなども売られている。
そして当然、プログラムやチームTシャツ、スウェットなどのグッズ、バスケットカード、ペナントなどの記念品も用意されている。


アリーナに1歩入ったら非日常の空間が演出されており、観客は夢の世界に入るのである。ここでビックリしたのは男性用トイレだった。

どこでも今は一人ずつセパレートされているがそうじゃなかった。
家庭にある流し台の長~いのがあり(10mはあったかな?)傾斜がついていてドドッと一方向に流れるような仕組みになっていた。

これでもいいんだ…
と思ったのを思い出す。

 

ザ・フォーラムはLAの郊外、空港に程近いイングルウッド市にある。
ギリシャの神殿のような外観で素晴らしくきれいで素敵に感じる。


日本からLAのエアポートに着く時に飛行機の窓から下を見ると円形の白い建物が目につくのですぐにわかる。
周りはすべて駐車場になっており、 シーズンチケットホルダーは自動的に駐車する権利が与えられている。
一般の当日券を購入するファンたちは遠くの駐車場から歩かねばならない。


こんな差別化もよく考えられているなぁと、勉強になったものだ。

 

17800人(位だったと思う)のキャパシティーの体育館など、東京オリンピック1964で施設は大量にできたものの、日本にはその大きさと見物客のためのものは皆無だった。


まずここでアメリカの底力を見せつけられたと感じた。
そんな状態はこの後、取材に行くたびアメリカのどこの州に行っても感じさせられたのである。
国土はデカい、とにかくデカい。
当時は当たり前のこととして15000人のキャパのアリーナはどこでも通常装備だった。


そして、
カリフォルニア州の中に日本全土が入ってしまうというのだから、
まいってしまう。

 

後にマジック・ジョンソンが日本でオールスター戦をやった時、福岡でのゲームの翌日は札幌でゲームというスケジュールが組まれていた。


日本人記者から
「かなりの強行軍で疲れませんか?」と聞かれるとキョトンとした顔つきで「なんで?」とこたえた。
記者は「日本を横断するような距離だからですが…」。


そうしたらマジックは
「考えて見て欲しい、日本の国はカリフォルニアより小さいしね。アメリカには時差があり、バスケは野球と違って同じ都市での連戦はまずない、毎日違う都市でゲームをやっている、それから比べれば楽なものさ」ときた。


国が異なれば思考形態も変わるという良い例だろう。

 

さて、現在(2021年)でこそNBAは30チームあるが当時(1978年)は22チームだった。


それも、1976年にABA(アメリカン・バスケットボール・アソシエーション)がつぶれて一気にニューヨーク・ネッツ、サンアントニオ・スパ-ズ、インディアナ・ペイサーズ、デンバー・ナゲッツの4チームが加盟したからだ。


これはABAでプレイしていた選手と組織を救済しての22チームだからNBAも動乱の時期を過ごしていたのである。
しかし、NBAは
この時しっかりとABAから加盟料を取って、リーグの維持運営を図っているのである。

 

この時のABAの4チームは比較的経済状態も安定していて、さらに、中心選手もスターが存在していた。


ネッツにはドクターJ


スパーズには
ジョージ・アイスマン・ガービン


ぺイサーズには
ジョージ・マクギニス


デンバーには
ダン・イッセル
デイビッド・トンプソンがいた。


時間はかかってはいるがこの4チームは後にファイナルにも進出している。
スパーズはポポビッチの指導で強豪の名をほしいままにしているのは皆さんご存知の通りだ。

次回はNBAの草創期を探索してみようと思う。

(続く)

 

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